前回のエントリにある、山本伸(@shyamamo)さんの読書会に参加してきた。
前回のエントリはこちら。
今回の読書会では、「CEOからDEOへ – 「デザインするリーダー」になる方法」を、いつものやり方と、伸さんが新たに学んできた公開不可の読書法という、二通りの方法で読んできた。
この本では
「DEOはシステム思考をする。」
というくだりがある。
実はこの読書会の内容を知る前に、11月に「システム思考」の研修を受けることが決まっていたのだ。
ものすごいシンクロニシティを感じたので、この読書会に参加することにした。
課題図書は今の自分にとって、非常に示唆にとんだ内容であり、別途、書評を書いてみたい。
本エントリでは、ようやく伸さんの読書会の本質がつかめたような気がするので、そちらを書こうと思う。
- 読書会の流れ
- 第1回:社会起業家として、父親として何ができる?【父性】と10年後の働き方を考える(終了 24 Apr, 2014)
- 第2回:「リーンアントレプレナー(翔泳社)」でビジョンとインパクトをプラニングする(終了 9 May, 2014)
- 第3回:クラウドファンディング徹底活用術を身につけよ(終了 28 May, 2014)
- 第4回:シンプルに伝え人を動かすワールドクラス・プレゼンテーション(終了 18 Jun, 2014)
- 第5回:行動観察とデザイン思考 読書会+実践会(終了 8 Aug, 2014)
- 第6回:たった5つの質問だけで価値を10倍にする「創造的思考法」を身につける読書会+実践会 (終了 20 Aug, 2014)
- 第7回「CEOからDEOへ〜人生を 「デザインするリーダー」になる」(終了 14 Oct, 2014)
- 読書会での本の読み方
- これは読書会にあらず、課題解決のためのブレーンストーミングである
- まとめ
読書会の流れ
この会での本の読み方は独特である。ちょっと長いが、参加した全読書会の流れは以下のようになっていた。
第1回:社会起業家として、父親として何ができる?【父性】と10年後の働き方を考える(終了 24 Apr, 2014)
「<本気の社会起業家(候補)向け> READ for ACTIONシリーズ」としてスタート。
本は主催者が用意したものが10数冊。これをできる限り多く読むという趣旨。
これは前回報告した。
- 自己紹介
- LEGOで今の自分を表す動物(ダック)を作る
- 会場に来るまでに一番遠かった人から
- どこから来たのか。
- LEGOの説明
- 好きな本を一冊取る(私が取ったのはHouse Wife 2.0)
- 何が書いてあるか調べる。(2分)
- それを書く。(1分)
- 順番に書いたものを紹介(発表)
- 2冊目 隣の人と本を交換
- 何が書いてあるか調べる。(3分)
- それを書く。(2分)
- 相手にそれを説明。(2分)
- 今まで使った本を集め、一人1冊づつ取る
- 読む。(1分)
- その本の著者への質問を考える。(1分)
- その質問を付箋に書いて本に貼る。(1分)
- 左となりの人に自分の本を渡し、右隣の人の本を受け取る。
- 全部回るまで繰り返す
- 一人が一冊を担当して、質問に答える (記憶曖昧)
第2回:「リーンアントレプレナー(翔泳社)」でビジョンとインパクトをプラニングする(終了 9 May, 2014)
この会は課題図書が一冊だけ。
- 自己紹介
- 何が書いてあるか調べる。(2分)
- 調べたことでフリートーク。(4分)
- 一人一章を担当して読む。(6分)
- 途中でさらに5分もらう → 2分延長 (7分)
- もう一回自分の章を読み、著者への質問を考える。(5分)
- 誰かに質問を渡す。自分も誰かからもらう。
- 質問を渡された相手の章を読み、質問に答える。
- 本の中の10個前後あるワークをすべてやる。
- ワークをやる (1分)
- それについてディスカッション。(2分)
- ワークが全部終わるまで繰り返し
- 次回予告
- 伸さんのお子さんがホンダのコンテストで入賞したプロダクトのクラウドファンディングを考える。
第3回:クラウドファンディング徹底活用術を身につけよ(終了 28 May, 2014)
この会は課題図書が一冊だけ。
- 自己紹介
- 第一部
- なにが書いてあるか調べる。(2分)
- 各自が紹介。(1分)
- 各章の内容について、ひとずつ著者への質問を作る。(5分)
- 各人の担当する章を決める。
- 各人は担当する章の質問を全員から集める。
- 担当する章を読んで、質問の答を書く。(10分) 最終的に1分延長
- 優先順位を決めて答える。つまり、答えやすい質問から答えていく。
- 時間制限なしで、一人一人発表。
- 第二部 電気土のクラウドファンディングをどうすればいいのかディスカッション
- 読書なし。
第4回:シンプルに伝え人を動かすワールドクラス・プレゼンテーション(終了 18 Jun, 2014)
- 欠席
第5回:行動観察とデザイン思考 読書会+実践会(終了 8 Aug, 2014)
シリーズ名に「アラフォー向け」が一瞬入る。
本は主催者が用意したものが10数冊。これをできる限り多く読むという趣旨。
- 第一部
- 今日持ち帰りたいもの(知りたいこと)に対する質問を作る。(5分)
- これを本に聞きにいくイメージ
- みんなの質問をクラスタリング
- 1人1つ質問を選ぶ
- 直感で本を選ぶ
- その本の紹介をする
- カバーとか注文カードとかを取る
- 背中の固いところを柔らかくするために、本を思いっきり真ん中から広げる。それを場所を変えて繰り返す。
- パラパラたくさんやって、ページ間に空気を入れる。
- 紹介に必要な情報を読み取る。(2分)
- みんなに紹介(プレゼン)する (1分)
- 持っている本(ここで違う本に変えてもいい)の中から質問の答えを探すために読む。(7分+3分)
- 順番に質問の答をみんなにプレゼン。
- 第二部
- 本を読む。(1分)
- 質問を考える。
- これを本があるだけ繰り返す。
- 読んだ本を一冊だけ選んで、その本に対する質問ごと持ち帰る。
第6回:たった5つの質問だけで価値を10倍にする「創造的思考法」を身につける読書会+実践会 (終了 20 Aug, 2014)
シリーズ名が「会議ファシリテーター向け Read For Action読書会+実践会シリーズ」に変わる。
- 欠席
第7回「CEOからDEOへ〜人生を 「デザインするリーダー」になる」(終了 14 Oct, 2014)
シリーズ名が「<プロフェッショナル・フリーランス(候補)向け> Read For Action読書会+実践会シリーズ」に変わる。
この会は課題図書が一冊だけ。
- 自己紹介
- 第一部
- 軽く目を通して(読んで)、どんな内容の本か自分なりの解釈を行う。(2分)
- 二人一組のペアになって以下をまとめる
- 一言でこの本を表すと (3分)
- この本を代表する3つのキーワード (2分)
- 各ペアの発表
- 「私にとってデザインするリーダーとはなんなのか」を読み取る。(6分)
- 各ペア内でシェア。(2分)
- レゴを使って説明。(2分)
- 全員を二つのグループに分けて、グループ内でシェア。
- 第二部
- 秘密のため詳しい内容は割愛。読書時間は(約10弱)
読書会での本の読み方
流れを見てどう思っただろうか。
ボールドのところが読む時間である。
読書会全体の時間(約3時間弱)に比して、読んでいる時間が非常に少ないことに気がつくだろう。
こんな短時間では、本はまともに読めない。
では、どう読んでいるのか?
会によって細かくは違うが、大体以下のような読み方をしている。
- 本全体、または担当している章の概要を数分で読み取る。
- 筆者への質問をつくり、その回答を本全体、または担当している章から数分で読み取る。
最初から本を完璧に読み込もうとは思っていないのだ。
規定時間内にいかに目的を達成できるか、達成できるのならどういう読み方をしてもかまわない。
では、なぜ本の中身を完全に把握する必要がないのか?
本を読むとは、書かれた筆者の考えを理解することではないのか?
私見では、この読書会は内容を把握するために読んでいるのではないし、筆者の考えを理解しようともしていない。
これは読書会にあらず、課題解決のためのブレーンストーミングである
この会は「読書会」と銘打ってはいるが、実態はまったく違う。
正体は「ある課題を解決するためのブレーンストーミングの会であり、本は脳に刺激を与えるための、キーワード生成器にすぎない。」である。
まず、思い出して欲しい。
各会は「社会起業家として、父親として何ができる?」や「クラウドファンディング徹底活用術を身につけよ」など、問題や課題が設定されている。
その解決法を探るための会が、この読書会なのだ。
そこではブレーンストーミングを行いたいのだが、効率的な方法がとりたい。
そこで、その問題や課題を扱っている一連の書籍が用意されるのだ。
当然ながらその書籍の中には、課題解決に必要な直接的、間接的記述、キーワードがたくさん入っていることが期待されているし、間違いなくそうであろう。
参加者は課題が頭に入っているので、本を読むというより、スキャンするだけで解決に必要そうなキーワード、センテンスが普段より目に付きやすくなっている。
日常生活でもそういう経験はないだろうか?
普段はまったく存在に気がついてなかったのに、旅行しようと思ったとたん、電車の中の中吊り広告に、旅行の広告がたくさんあることに気がつくとか。
このように、キーワードに敏感になった参加者が本から脳を刺激され、どんどん意見、アイデアが出てくるのである。
さらに、バックグランドの違う複数の参加者により、違った視点の意見が出されるため、どんどん発想は膨らんでいく。
それは、まさに思考の嵐となって会を吹き荒れることになる。
まとめ
ずっと、不思議だった。
読書会といいつつ、本を読んでいる気がしない。
その理由に、第七回にしてようやく気づくことができて非常にすっきりした。
この読書会では、本を読むことではなく、頭を使うことが重要なのだ。
いつも終わるとヘトヘトになっていたのだが、3時間も激しいブレーンストーミングをやっていれば当たり前である。
今後はこの読書会は頭の運動、ブレインエクセサイズとして参加したいと思う。
次回は、「第8回:国際スポーツイベントで社会起業を目指す”チーム”読書会+実践会(Oct, 2014 予定)」で、以後、随時開催ということだ。